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たまたま売り手と買い手の思惑が一致してこれに対し、少なくとも買い手側の競争が生じている現在の不良債権市場なら、競争入札により最も高い買いその値段になっただけかもしれないのだ。 外資は足が速い、ともよく言われる。
決断力・実行力で、平均的な日本企業は外資系投資会社に遠く及ばない。 このうち撤退した投資会社は、日本での不良債権ビジネスがあまり儲からなくなったと見切りをつけたのだろう。
外資の撤退について、日本に残っている某外資系投資会社の人に聞いたところ、「戦略の失敗があったケスがあるのではないか。 巨大な不良債権があることだけ見て、仕組みさえ作れば稼げると踏んだ会社は、日本で仕事をするには予想以上に手間ひまかかることに驚いただろう」と言う。
外資、とりわけ米国で大きな不良債権ビジネスをしてきた企業は、成功した仕組みを確立している。 同じ仕組みを日本に持ち込めば、ものごとは進んでいくと考え、日本の法律やビジネスの独特の文化を軽視していたのかもしれない。
さらに、「一時期、とにかく量を確保する戦略から高値で買いまくっていた外資もいた。 思うように売れなくて苦しんでいるかもしれない」とその人は続けた。
短期間で売り抜くシナリオだったとすると、買い手を短期間で見つけることに失敗すると悲惨なことになる。 その不良債権を買い取るのに使ったファンドの利回りを低下させないように、向社で運用する「飛ばし」をしているかもしれない、とも言う。

「不良債権の売却市場ができたことは本当に画期的だったのですよ」とあおぞら債権回収のH氏が答えてくれた。 「以前はバランスシトから外そうと思ってもなかなか外せなかったわけですから」。
銀行にとっては、不良債権の償却要件が厳しいため、なかなか償却できない。 そうすると、たとえば、借りた人が逃げてしまったが、連帯保証人が毎月、数万円ずつなら返せるという場合、返してもらわなければならない。
そのベスだと百年、二百年かかる、なんてことになる。 返済する人にとっても、銀行側にとっても気の遠くなる話だった。
ファンドやサビサが買ってくれる現在は、売却損を覚悟すればよい。 売却損が大きすぎて因る銀行もあるようだが、従来の百年返済プランよりは、よほど前向きな作業であることは確かだ。
別の担当者も「外資のもたらしたインパクトは、(不良債権)市場が数年でできてしまうほどすごかった。 きちんと評価すべきだ」と一言う。
あおぞら債権回収は、日債銀時代から不良債権処理業務への参入を構想していたチムが、新銀行になってから、設立した。 一九九九年に登場したサビサの一番初期のグルプにいる。
特徴は、生保・損保の保険会社や地方銀行・信用金庫など地域金融機関に特化して、買い取りゃ回収委託をしていることだ。 競争の激しい大手銀行は避け、日債銀時代に付き合いのあったところに絞った。
外資のインパクトで聞かれた市場とはいえ、まだまだ未開拓であり、理解もされていなかったビジネスを少しずつ広げてきた。 「日本人による日本人の不良債権処理」と唱えながら、金融機関を説得し、ファンドへの出資を募ってきた。

「少しずつ理解を得られるようになってきた」とH氏は言う。 考えてみれば、外資は、海外で集めたファンドを持っていて、不良債権を日本に買いに来るのだが、日本企業が同じ事をするには、まず、ファンド作りが必要になる。
元手が数十億、数百億という単位でないとできない商売だからだ。 そこまでして不良債権買いへ参入したのが当初、あおぞら銀行グルプやオリックス・グルプなどごく少数だったのは残念だが、しかたがなかったのかもしれない。
日本では、各種ファンドにカネを出す大口投資家(機関投資家)の層が薄い。 絶頂期の八0年代も今も、日本の機関投資家は大手金融機関(銀行・保険)と大手商社だ。
日本のサビサ、あるいはその背後のファンドを含めた不良債権ビジネスの将来について、「大風目敷を広げるわけでなくて、それぞれが得意分野を持つようになるのでは」とあおぞら債権回収では予想している。 「アメリカだって、ファンドがそれぞれ特色を持って、いのあったところに絞った。
外資のインパクトで聞かれた市場とはいえ、まだまだ未開拓であり、理解もされていなかったビジネスを少しずつ広げてきた。 「日本人による日本人の不良債権処理」と唱えながら、金融機関を説得し、ファンドへの出資を募ってきた。
「少しずつ理解を得られるようになって、借り手企業は、外資系サビサに連絡を取り、交渉に赴く。 応対に出てきたのは日本人だったが、外資系はビジネスライクが一番だからと思い、「いくら払えば、借金をチヤラにしてくれるか」と率直に切り込む。
その借り手向けの返済残高三十億円の債権について、外資系が買い取りにかけたコストを五億円程度と計算していたとすると、十億円すぐに払ってくれるならまずまずの商売だと判断できる。 交渉の末、外資系サビサ側と借り手企業はその線で折り合った。

さて、何がどうなったのだろうか。 外資系サビサはその債権だけ見れば、高い利回りを確保したので、ひとまず喜ぶ。
借り手企業の側は、その借金が残高三十億円から一気にゼロとなる。 十億円払ったので、差し引き二十億円の特別利益を計上できる。
ここまでの一連の話を振り返ると、銀行が二十五億円の損失を覚悟したおかげで、外資系サビサと借り手企業が得をしたという話になる。 金額はさまざまだろうが、実際にこういうことは起きている。
さてここまでの説明を読んで、頭では理解できても釈然としない気分が残る人が多いのではないだろうか。 「納得できない」と反発したい理由はいくつか考えられる。
一つの理由は、二つの取引を合成して見ることからくる誤解である。 銀行と外資系サビサの不良債権売買と、外資系サビサから借り手企業が債権を買い取ったことは、まったく別の取引である。
銀行が借り手企業に対して借金を棒引きしたわけではない。 分解して、銀行から見ると、外資系サビサがどう処分するかは分からないし、関係ない、と理解できる。
別の可能性は、外資系サビサが結果として楽な商売をしたことが、うらやましいことから生まれる心情だ。 銀行から買った債権を、借り手企業へ売る過程で、ひょっとして暴利を稼いだのではと疑いたくなる。
だが、外資系サビサにとっても、二つの取引をあらかじめ知っていたわけではない。 儲けが多かったとしても偶然というしかない。

これも合理的に判断すると、納得できるだろう。 得られる情報から合理的に判断しても、反発心が残る理由もあるのだ。
銀行は、ある融資先企業について不良債権が増えすぎた場合でも、直接の債権放棄には応じないというポリシを貫くほうがいいと思う。 幸いにして、今や不良債権の買い手がいる。
外資系を中心としたファンド、サビサにさっさと売ればよい。 買い手が債権放棄しようと銀行には関係ない。
融資先企業をどうしても支援したほうが良いと判断するなら、デツト・エクイティ・スワップ(債務の株式化)で株を持っておくという手もある(法や規制が邪魔するなら、そちらを変えてもらうよう政府に働きかけるべきだ)。 どんな商売でもそうだが、相手によって処理の仕方が違うと思われる行為を続けていけば、不信感が増していくだけだ。

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